使い込むほどに風合いが増す、昔ながらの「柿渋染め」

柿渋染めをご存知でしょうか?柿渋は、青柿から作られる日本古来の天然染料です。どこか懐かしい感じのするオレンジブラウンが印象的な柿渋染めには、抗菌作用などの効果があり、昔から生活の知恵として人々の間で親しまれてきました。今回はそんな柿渋染めの魅力についてご紹介します。

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写真:ユルクル

古くから受け継がれてきた生活の知恵「柿渋」

青い渋柿をすりつぶして果汁を絞り、発酵、熟成させたものを「柿渋」といいます。柿渋に含まれる「タンニン」には、抗菌、防腐、防水、防虫、補強などの効果があり、昔から染料や塗料として使われてきました。

柿渋が広く使われるようになったのは江戸時代ともいわれ、家の柱などの建築材、樽や桶などの生活用品、酒作りのための袋、漁をする網などに塗り、様々な用途で使われてきました。また、火傷に効果があるとされ、民間療法の薬としても使われていたそうです。

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柿渋に含まれるタンニンには色々な効果があります。

「柿渋」で布を染めること

青柿の果汁は薄い緑色をしていますが、発酵させ寝かせておくと、だんだん濃い茶色になっていきます。この柿渋液に布を浸したり、刷毛で塗ったりして、色を付けたものが柿渋染めです。

柿渋で染めた布は、乾燥させ太陽に当てる事で色が定着します。一回で濃く染めることはできないため、染めては太陽に干すことを繰り返し、だんだんと自然な茶色に仕上げていきます。季節や染める方法によって、いくつもの表情を見せてくれるのも、柿渋染めの魅力のひとつです。

また、柿渋は、染めるたびに生地が強くなるため、定期的に重ね染めをしていくことで、擦れて破れそうになるのを防ぐことができます。ひとつのものを大切に長く使っていくことができるのも柿渋のよいところですね。

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染めの回数や方法で、微妙な色の差が生まれます。写真:ユルクル

柿渋染めの作り手・ユルクルさんのご紹介

自然とのつながりの中で「ゆる~く」「クルクル」と生きるスタイルを提案しているユルクルさん。四国の最南端にある高知県土佐清水市で、柿渋染めをはじめとする染物や作品づくりを行っています。

染めの作業は外で行うため、夏は肌がジリジリと暑く、冬は手がちぎれる程寒いのだとか。最低5回は染めては2、3日干し、余分な柿渋を水洗いしてからまた柿渋液に浸し、揉み込み、搾り、干すことを繰り返すうちに、布は固く重くなり、回数を重ねるごとに力がいるようになります。

また、イメージする色を作りだすために、柿渋液の濃度を調整したり、布の搾り具合や太陽のあたり具合をみて、毎日布を触り、天気をうかがって干し方を考えているそうです。

とても大変な作業に聞こえますが、ユルクルさんにお話をうかがったところ、

“季節によって、色が違います。
染める手で仕上がりも違います。
紫外線と柿渋成分のタンニンが反応して、
コーティングされ、日々の酸化でも色が変わります。

蝋引き紙のような
皮のような
でも柿渋リネンにしかない感触が
とても好きなのです。

好きなものを自分で作りだす喜びと、
自分の好きなものを同じように好きだと言ってくれる人が居る。

日々「ありがたいなぁ」と思いながら
作業しています。”

という、すてきなお言葉をいただきました。

作り手さんが、大好きでたまらなくて作っている作品。
そんなお話を聞くと、ますます柿渋染めに対する愛着が湧いてくるように思います。

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お日さまや風をみて、季節や自然を常に身近に感じています。写真:ユルクル

ユルクルさんの柿渋リネンcoffeeフィルター

ここではユルクルさんの作品として、柿渋染めリネンのコーヒーフィルターをご紹介します。

このフィルターには、リネンの速乾性と柿渋の抗菌作用があり、柿渋で染めた布(茶色い部分)と鉄媒染した布(黒い部分)を使っています。柿渋は繊維をコーティングして染まるためリネンの目がつまり、ペーパーフィルターと同じような感覚でお使いいただけます。

柿渋リネンは乾きが早く、洗って何度も使えるのがよいところ。使用後は水洗いの他、サッと熱湯消毒をしたり、ゆっくりと日光消毒するのもおすすめだそうです。キッチン道具と一緒にフックに吊り下げておいてもかわいいですよ。

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コーヒーの味もどことなくまろやかな風味になるような気がします。

いかがでしたでしょうか?青柿が年月をかけて柿渋になり、そこへ何度も布を浸して干す作業を経て、ようやく柿渋染めができあがります。それはまさに、作り手さんと自然との共同作業ともいえるでしょう。ユルクルさんの元で、高知の太陽をたっぷり浴びた柿渋染め、ぜひお手にとって見ていただけたら幸いです。

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この記事を書いた人

藤森 美佳
藤森 美佳
Cucuruの店長。
大学卒業後3年間のOL生活を経てカナダへ留学。自然に囲まれた田舎町で暮らしているうちにサステナブルな生活に興味を持つようになる。その後、中南米やアフリカの旅を経て、2015年人と地球の共存をコンセプトとしたショッピングモールCucuruをスタート。